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最終更新: 2017-07-02 (日) 18:19:13
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デザイナーズノート(マニュアル175-183ページ)抄訳 Edit

By Soren Johnson (Lead Designer & AI Programmer) Edit

こんな機会はそう訪れるものではない。

その昔、たぶん私が十歳かそこらの頃、私は気だるい夏休みの日々を、いとこのKjellと一緒にいろいろなゲームを妄想しながら過ごした。ある日、我々は一週間かけて、世界の歴史を扱ったゲームのデザインをまとめあげた。そのゲームでは、なんと世界を一から作り上げることができて、しかも中国としてもローマとしてもプレイできて、しかもしかも、アメリカとしてプレイすることもできて、しかもしかもしかも、外交や戦争、技術に探索などの要素も構えていた。すげえ、このゲーム最強じゃね? 誰かアップルかコモドール用にこれ作ってくんないかなあ!

もちろん、そんなことを考えていたのは我々だけではなかった。実際、ウィル・ライトがシムシティを作ったとき、その次の一歩が、それの全世界バージョンであることは目に見えていた。シド・マイヤー(すでに有名なゲームデザイナーだった)がそれを実現させたとしても、すごく意外とは言えなかっただろう。初代Civilizationは1991年に発売され、世界を虜にした。

大学一年のとき、私はこのゲームをサルのようにプレイした。それは俺が望んだゲームの全てでもあったが、「もしここがこうだったら……」という想像力の限りない源でもあった。人類の歴史に関するゲームは、あらゆる題材がその要素になりうるのだ。そして大学を卒業したての私に、Jeff Briggs(Firaxisの創業者でありCEOである)は、彼とともにCivilization3をデザインする機会を与えてくれた。それは夢のような経験となった。我々は文化や資源といったいくつかのすばらしい新要素をシリーズに盛り込むことができた。しかしながら、ゲームの評判が確立され、新しいファン層を作り上げるにしたがって、次のような質問が持ち出されるようになった。「で、Civ4はどうなるの?」

まったくいい質問だよ。

Civilizationの新作というのは、おそらく千通り程の作り方があると思うが、作れるのはそのうちのひとつだけだ。まず我々は、このゲームをそれ自身独立したゲームとして作ろうと考えた。シリーズものではあるけれど、全てのデザイン要素を一から再考した。ゲームエンジンも一から作り直すことにしたので、どの要素を残し、どの要素を捨てるか、自由に考えることができた。

みんななんでああもCivが好きなのか? その答えは、もちろん、一筋縄ではいかない。でもいくつかのパターンを考えることはできる。「よし、火薬を発明して、強大な軍隊を作り上げてやるぞ」「よし、あの都市を我が物にして、贅沢品を手に入れてやるぞ」「よし、ピラミッドを完成して、全都市を栄えさせてやるぞ」そして忘れてはいけないのが、「よし、あともう一ターン……」というやつ。このターンベースのシステムこそ、ゲームプレイをいくつかの小さな目標と達成の重なりとしてまとめあげ、人を毎日のように夜更かしさせてしまう張本人だ。というわけで、我々は(いくつかの「リアルタイム」なストラテジーゲームとは違って)ターンベースであることこそCivの命であることをまず確認した。

逆に、Civで嫌いなところはどの辺だろうか? 多すぎるマイクロマネージメントというのはそうだろう。都市の反乱はその最たるものだ。我々は、毎ターンごと都市画面を覗かせ、込み入ったバランス調整をしないと、市民の怒りが蓄積し、いきなり都市が言うことを聞かなくなったりする代わり、怒った市民が単に働かなくなるようにし、怒った市民それ自体が都市成長のバランス要素となるようにした。効果は同じだが、後者はマイクロマネージメントを必要としない。

同じように、研究や生産が終わったとき、あまったポイントは次に持ち越せるようにした。今まではあまったポイントは無駄になってたので、プレイヤーはポイントが余らないようにあれこれ考えなければならなかったのだ。またもやちょっとした変化が、ゲームにおける細かい面倒な作業を大幅に軽減できたわけだ。

また我々は、どのようなルールが初級のプレイヤーを戸惑わせるのかを観察した。もっともありがちだったのが、SettlerとWorkerの生産周りの誤解だ。都市がそれらのユニットを生産し終わっても、都市がそれ相応の人口にならなければユニットはマップに出てこない。Civ4では、単純にSettlerとWorkerの生産中、都市の成長が止まる(余った食料は生産ポイントに変わる)ようになった。このちょっとした変更で、初めてCivをやる人にとってのつまずきが一つなくなったことだろう。

次に我々は、ゲームのベースとなるさまざまな仕組みのうち、どれを発展させ、どれをカットするかを考えた。たとえば公害なんかは、いいカットの対象だろう。 Workerの群れがあっちこっちで繰り広げるモグラたたきゲームには、誰もがいらいらしていた。代わりに大局的な健康システムを組み入れることで、食物資源とそれを用いた交易に新たな役割を持たせた。これでプレイヤーにとっては挑戦しがいのある難題ができ、多くのWorkerは仕事から解放されたのだ。

汚職と浪費もあまり人気のある要素ではなかった。とはいえ今まで、我々はそれがプレイヤーの発展を邪魔させるためにどうしても必要だと決めつけていた。我々は最初から考え直すことにして、この要素をあっさり削って、それでゲームがどう変わるのか見てみた。この選択は想像だにしなかった面白い方向へと我々を導いてくれた。

インターネット上のファンの集まりで、「ICS」というのはよく使われる用語である。ICSとはInfinite City Sprawl(無限都市拡張)の略で、Civシリーズではとにかく都市を造りまくることがもっとも優れた戦略であるという意味だ。汚職と浪費は都市建設に歯止めをかけ、領土の拡張を先細りさせる機能を持っている。二〇番目の都市は十番目の都市よりも生産性が著しく低いといった具合だ。Civ3の最初のバージョンで、我々はこの汚職率を大幅にあげた。それによってICS問題にけりをつけたいつもりだったのだ。

我々は正しくも間違ってもいた。この変更はプレイヤーが領土を都市でぎゅうぎゅう詰めにするのをやめさせはしたが、同時にゲームの中でもっとも批判が集中する箇所ともなったのだ。ゲーマーたちは自分たちの生産物が持ってかれてしまうのを快く思わなかった。せっかく都市をたてたのに、一ターンに一シールドしか生産しないんじゃ、たしかにおもしろくない。

汚職と浪費をゲームから取り除いてみる(というより、正確には、そもそもプログラムに組み入れさえしていない)と、いくつかの新しい可能性が浮かび上がった。まず、改造された維持費システムが、より多く都市を作るという「唯一かつ最良の選択」に対する、巧妙な抵抗力を生み出すことができた。都市の建造物に維持費を課す代わりに(これは実際、ICSによる作りたての都市より、発展した都市の方にペナルティーがかかるというものだったので)、我々は帝国の広さに従って全ての都市に等しく維持費がかかるようにした。都市毎に毎ターン十ゴールドずつ必要になるとすれば、発展が進んでいない都市は財政的にとんだお荷物となるだろう。ある程度しっかりした基盤を持つ帝国ならそのような「コロニー」をいくつか持つことは難しくないだろうが、ゲーム全体を通してとにかく都市を造りまくるICSの戦略は非常にとりづらくなった。

とはいえ、維持費システムは新しい問題を我々にもたらせた。他のあらゆるペナルティーと同じように、それは「おもしろくない」要素になる危険性を持っていた。大して楽しくもないのに、ゲームバランスを維持するという名目でプレイヤーが無理やり背負うことになる「お荷物」的要素、となる危険性だ。これを解決するためには、Civ3の開発中に出くわした同じような問題を思い出さなければならなかった。「黄金期」の問題だ。黄金期はみんなに気に入られた要素だが、元々は「暗黒時代」という全く逆の概念だった。長い時代にわたる文明の盛衰を表現したいがため、何をやっても駄目な時期というのを組み入れてみたのだ。しかし、これが全くおもしろくない。でも我々はそのアイデアを捨てる代わり、発想を転換させてみた。二十ターンの暗黒時代を二十ターンの黄金期にすることで、歴史の浮き沈みを表現すると同時に、プレイヤーにやってて楽しい要素をもたらすことができたのだ。

同じことが必要とされていた。少数の大都市をやりくりするのが楽しいと思わせる要素が必要だったのだ。でなければ、都市維持費のシステムは高くつきすぎる。我々の答えは、都市の特化・専門化というものだった。事実、我々はこの要素をだいぶ前からゲームプレイに導入したいと考えていた。ある都市を研究都市として特化し、別の都市を軍事要点として、また別の都市は商業地域として特化するというのは面白いだろうと思ったのだ。また、都市の専門化をうまくデザインできれば、プレイヤーに(ただ無個性な都市を造りまくる)ICSに取って代わる、より楽しい新しいゴールを提供できるとも考えた。

地形改善と資源をつなぎ合わせるのがその第一歩となった。農地や炭坑といった改善も、馬や鉄と言った資源も、両方初代のCivilizationからあったものだが、その二つを合わせるという当然考えられることを我々はしてこなかったのだ。Civ4では、農地と麦はそれぞれ+1の食料ボーナスがつくのだが、麦と農地が合わさって麦畑となると、食料ボーナスは+4に倍増する。これのおかげで、それぞれの都市が近くの資源によってその傾向が決まることになる。鉄がある丘が近くにあって馬の捕れる都市は、barracksとforgeを作ることで騎士生産の拠点となるだろう。香辛料と絹がとれる川沿いの都市は、marketとharborを作ることで商業と交易の要点となりえるし、牛や麦がとれる草原の中に位置する都市は、人口爆発によっていくつもの専門家を抱えられることになるだろう。

専門家といえば、事実これはメインの点検対象のうち一つだった。そしてこの段階で、彼らは都市の専門化における重要な鍵を握るようになった。まず我々は、専門化の能力を高めた。科学者はターン毎に三つのビーカー(研究ポイント)を生産するし、技術者は二つのハンマー(生産ポイント)を生産する。芸術家は4文化ポイントと1ゴールドといった具合だ。しかし、もっとずっと重要な変更として、我々は彼らを新しい偉人システムの基幹に据えることにした。

他の多くの新要素と同じく、偉人システム――アインシュタインやプラトンやミケランジェロといった偉大な人物たちをゲームの中に組み入れる――も我々がずっと昔から導入したいと思っていたものだ。我々はこれらの偉人たちを、偉大な芸術家、技術者、商人、予言者、科学者という大まかな五つの枠組みに分類した。偉人輩出の仕組みはとてもシンプルで、都市毎の専門家はターン毎偉人ポイント生産し、そのポイント一定量たまったら都市に偉人が現れる。その都市に芸術家が多ければベートーベンが現れ、商人が多ければマルコポーロが現れる、といった具合だ。

偉人はゲームの方向性をも変えられる、非常に強力な、使い切りのユニットである。彼らは新しい技術を発見したり、二人以上合わさって黄金期を発動したりできる。偉大な技術者は文化遺産の建設を一ターンで終わらせることができるし、偉大な芸術家は文化の爆発を起こすことができる。また、偉人は「超専門家」として永久に都市の生産を加速させることができる。偉大な科学者が研究都市に超専門家として招かれたとき、彼が研究にもたらすボーナスはゲーム全体にわたって大きな変化をもたらすだろう。

最後に都市の専門化を固めたのは国家遺産の存在だ。それぞれの文明が一つずつ持つことができるという国家遺産のコンセプトはCiv3からあったものだが、4ではより都市の専門化に働きかけるようなものとして変更した。Wall Streetが都市のゴールド生産を倍増し、Oxford Universityが研究スピードを倍増させ、The Hermitageが文化ポイントを倍増させるといった類だ。全ての軍事ユニットに追加の経験値を与えたり、偉人ポイントを倍増させると言った国家遺産もある。また、都市毎に立てられる国家遺産を二つに制限し、一つの都市が万能化するのを避けた。

このように、高度に開発された都市は、特にそれらがある領域に専門化された場合、その生産を増加させるために様々な強力なツールが使えることになる。高いレベルでみたとき、これらはプレイヤーの選択肢、シド風に言えば「面白い決断」を増やすことになる。これはCiv4全体に一貫したテーマといえるだろう。Workerなんかがいい例で、このユニットは通例、ゲーム後半の退屈さの主犯格として考えられていた。マイクロマネージメントの話題が出る度に、このユニットを丸ごと抹殺できないものかと、ファンたちはよく要求したものだ。

しかしながら、この問題をより注意深く考えたとき、問題はユニット管理の煩雑さではなく、「面白い決断」の足りなさであると思えてきた。これまでのCivでは、Workerはだいたい農地を作るか炭坑を作るかどっちかしかなかったのだ。そしてだいたい、作るものは必然的にどっちか片方に決まっているのだった。

ということで、我々はWorkerにできる仕事を大幅に増やした。作業場(workshops)、風車、水車などが、食料、生産および交易ポイントを増加させる新たなオプションとして加わった。特に小屋は興味深いオプションで、ターンを経る毎に村落、村、街という風に成長し、成長するに連れより多くの交易ボーナスを生み出すのだ。また、牛には牧場、バナナには農園、石油には油田という風に、それぞれの資源にマッチしたいくつかの改善を新たに増やした(また、ユニットの管理面においても、大きな変化をもたらすほんの少しの変更を施した。Workerの移動力を2にすることで、プレイヤーが移動「と」作業を同時に命令できるようにし、ジャグリングまがいのタスク管理を大幅に減らしたのだ)。

もう一つ、プレイヤーの選択肢を劇的に増やしたものに、公民制(社会制度)システムがある。これは従来の、専制主義や共和制といった静的で一枚岩な体制の中から自文明のシステムを選ぶ代わり、五つのカテゴリーのなかから、自由貿易あるいは環境保護、普通選挙あるいは世襲制、神権政治あるいは宗教の自由といった感じで、様々な体制・制度を併せて選ぶというものだ。このアイデアは当然アルファ・ケンタウリからインスパイアされたものだが、もっとプレイスタイルに独特ではっきりとした影響を及ぼすようにした。例えば代議制は全ての専門家ごとに研究ボーナスを足すので、全ての都市に追加の専門家を加える重商主義と組み合わせると強力である、といった具合に。

技術ツリーのレイアウトもまた、プレイヤーの選択を増やす方向で劇的に変わった。Civ3における明確な時代の区別は、結果的にプレイヤーの研究ルートを狭める結果になったので、カットすることにした。さらに、我々は技術ツリーにORゲート回路を導入した。これまでは全て、閉鎖的なANDゲートのみが使われていたのだ(共和制の発見のためには、法律「と」哲学の両方がいるといった感じで)。Civ4では、ORゲートによって一つの技術のために別々の手段を用いることができる(火薬のためにはギルド「か」教育のどちらかを発見していればよい)。これは技術ツリーに新しい息を吹き込んだ――ゲームの度に全く異なる進路をとることができるのだ。

この進歩は歴史のif的な観点から見ても刺激的なものだった。Civilizationは歴史のifを取り扱うゲームであるのにもかかわらず、今までの技術ツリーは「何が起きたのか」を「何が起こりえたのか」よりもずっと重視していた。だいたい、ロケットを飛ばすために飛行機について知っておかなければいけないのだろうか? 優れた科学者なら、大砲と弾道学からわかっちゃうようなもんではないのか? Civをプレイするという体験は、様々な歴史のifについて想像をかきたてるようなものであるべきだ。新しい、開かれた技術ツリーは、それらの歴史の可能性を探求したものというわけだ。

歴史のifといえば、宗教の導入を放っておく訳にはいかない。もしアステカが仏教を創設したら? もしローマがキリスト教を受け入れず、布教も進めなかったら? もしユダヤ教が宣教師を作りまくっていたら? Civ4での宗教の導入は、それ単独でもゲームプレイに新しいベクトルをもたらしているが、他の要素ともうまく絡み合っている。複数の宗教を持つ都市は複数の寺院を造ることができ、その分聖職者――宗教の専門家――をよけいの置くことができる。十分に広まった国教は神権政治体制において強力な軍隊を作り出すし、組織宗教体制で建造物の生産スピードを大幅に加速させる。

とはいえ、我々が実験した他の多くのゲームシステムと同様、宗教もプレイヤーがある程度コントロールできるようになるまで、あまり面白いものではなかった。我々は最初、宗教を複雑な、ブラックボックスの仕組みに従わせ、その中心地である聖都から交易網を伝って徐々に周りに伝播していくように設計した。これは実際の歴史の中で、政治的指導者が宗教の広まりに対して時にいかに無力であるかをよく示してはいたが、こんなにも重要な要素に対してほとんどタッチすることができないというのはプレイヤーにとって大きなフラストレーションの元になった。というわけで、我々はMissionaryのユニットを導入し、プレイヤーが自力で自分の宗教を広めることができるようにした。

なぜ積極的に宗教を広めなければいけないのか? 一番重要な理由は、外交だ。これまでのシリーズにおいて、外交上の駆け引きは、その動機の弱さにいつも苦しんでいた。ある文明が自分の文明に好意的であるにせよ敵対的であるにせよ、その理由が今ひとつ見えてこなかったのだ。宗教はなかなか便利でわかりやすいバックグラウンドを与えてくれた。隣国と違う国教を持てば、隣国は敵意を持ち、時にそれが戦争の引き金にもなるだろう。とはいえ、隣国の大きな都市に、うまく宣教師を滑り込ませ、彼らを自分の宗教に振り向かせることができれば、長い時にわたる同盟関係を勝ち取ることができるようになる。

外交で言えば、Civ4での新しいリーダーの性格づけも様々な外交上の難題を生み出すだろう。多くのリーダーが好みの社会体制をもち、それに追従するよう圧力をかけてくる。ガンジーがプレイヤーに普通選挙を採用するようけしかける最中に、毛沢東が国有化の導入を強いてきたりするだろう。さらに、リーダーたちはそれぞれの味方と敵を作り始め、時おり戦争や通商禁止をプレイヤーに持ちかけたりすると思う。全ての文明と友好的な関係を保つことは、特にそれが高い難易度であれば、かなり繊細なスキルが必要になるだろう。しばしば長期取引の相手を持たなければならないこともあるわけで、八方美人は結果的に嫌われることを覚えておくことだ。

外交はいずれ破綻して戦争となる。Civ4の中の戦闘システムは、シリーズを通して精密な検査と改良を経てきた。実際、戦闘システムはあらゆる要素の中で最も根本的な変更を受けたものかもしれない。まず最初に、昔の攻撃と防御に分かれたユニットの能力は一つに統合された。この単純化のおかげで、はるかに手の込んだシステムをデザインする余地が生まれた。今作では、戦闘ユニットはもっと状況に沿った補正を受ける。例えばArcherは都市の防御や丘の上といった状況ではもっと強いユニットになる。Spearmanは騎乗ユニットをもっと有利に攻撃することができるし、Horse ArcherはCatapultを攻撃する際ボーナスを受ける、などなど。

このシステムは戦闘において複数のユニットを併せて使うようにし向けるものだ。たった一つのユニットを重点的に生産するのは、適応力の高い相手に対して思わぬアキレスの腱をさらけだすことになる。偵察と諜報活動は以前よりずっと重要になった。敵の軍事構成を先立って知ることができれば、いざ交戦が始まったときこの上ない武器となる。

しかしながら、このシステムには思わぬ落とし穴が待っていた。というか、落とし穴自体は昔から存在していて、だいたいファンの間ではSoD(Stack-of-Doom、地獄スタック)と呼ばれていたのだった。基本的に、あらゆるユニットがそれに対するカウンターを持つなら、一番いい戦略は単に自分の持ってる全てのユニットを一つのでっかいスタックにまとめてしまうことだ。この手はスタックが攻撃された場合、もっとも相性のいいユニットをそれにあててしまうもので、ユニットとカウンターの繊細なバランスを台無しにするものだった。

この問題を解決するために、我々は初代Civから巻き添え被害(collateral damage)の概念を借用した。このシステムは、ユニットが負けた際、同じスタックの全てのユニットを壊してしまうというものだ。あまりにもあまりだったので、Civ3では取り除かれた要素なのだが、少し効果を弱めることで、SoDに対するよい解決策になれそうだった。というわけで、CatapultやCannon、そのほかの砲撃ユニットはいかなるユニットタイプのカウンターにもならない代わりに、特定のプレイスタイルに対するカウンターとなる。スタック攻略の専門家が存在することで、ユニットをまとめて殴りに構えるか、ユニットを散らして砲撃を逃れるかという、ほどよい葛藤が生まれることになる。

戦闘関連におけるもう一つのすばらしい追加点が昇進制の導入である。ユニットをカスタマイズするというアイデアはアルファ・ケンタウリのUnit Workshopで最初の導入されたのだが、多くのプレイヤーにとってはいささか威圧的なほど複雑だった。我々はこのシステムをもう少しCivらしく、というのは、様々な能力が少しずつ、プレイヤーへのご褒美として解除されていく、という風にしたいと考えた。

実のところ、我々が考えていたシステムは、古典的なRPGが持つレベルシステムそのもののように思えた。今そこによいアイデアがあって、しかも多くのファンにとってなじみのあるジャンルときたものだ、それをいただかない理由はない。というわけで、昇進システムが生まれた。ユニットは戦闘で勝利すると経験値を得、独自のアップグレードを受けてよりある目的へ特化することができる。

City Raiderを持つSwordsmanは都市攻略のスペシャリストになれるだろう。Medicを持つPikemanはKnightの攻撃からうまく持ちこたえるだけでなく、スタック内の全てのユニットの傷を癒すだろう。最終的にユニットはそれ自身の個性を持つようになる。誰だって高レベルのユニットを突撃させる前に、二度も三度も考えるようになるだろう。もっと重要なのは、こんなにもおもしろくて奥深くなったのに、システム自体はあくまでシンプルなまままとまってるということだ。ゲームデザインの教科書に書いてあるように。

で……あと何かあったかな? もういいだろう。読書の時間は終わりだよ! そろそろパソコンの前に戻るときだろ。僕らがこのゲームを作りながら楽しんだ以上に、きみがこのゲームをプレイしながら楽しんでくれることを願うよ。

(スタッフの紹介につき中略。)

願わくばCiv4が、またどこかの十歳の子供に、インスピレーションを与えますように。 でかい夢を見るのが好きな子供に。それもどでかい夢をね。

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